竹内さんは『カネ恋』第2話が放送された2020年9月22日の5日後に亡くなっており、『カネ恋』第1話と第2話を視聴された可能性があります。
そこで『カネ恋』を調べてみると、竹内さんへの嫌がらせと考えられる部分が多くあります。まず、主役の玲子と、その母親サチの役名の意味を考えましょう。
九鬼玲子(松岡茉優)
『カネ恋』で松岡茉優が演じた役名は「九鬼玲子」です。一方、竹内さんが演じた登場人物で玲子と言えば、フジTVで2012年に放送された、竹内さん主演のヒット作『ストロベリーナイト』の主人公「姫川玲子」です。
また松岡は『カネ恋』第3話の途中までロングヘアーです、一方『ストロベリーナイト』姫川玲子役の時の竹内さんもロングヘアーです。これらから、「玲子」の役名は竹内さんの注意を引くためのものだと考えられます。

九鬼玲子の「九鬼」ですが、老舗のアダルトビデオメーカーに九鬼(KUKI)があります。姫川玲子は、関係者から情報を引き出すために肉体関係を持つなど、事件解決のためには手段を選びません。
姫川玲子のやっている事は、お金のために性的行為を行うアダルト女優と変わらないと揶揄して、九鬼玲子という役名にしたと考えられます。
また、第71回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した、是枝裕和監督の『万引き家族』(2018年公開)で、玲子役の松岡茉優は性風俗店の店員を演じています。国際的に高い評価を受けた『万引き家族』を、アダルトビデオとかわらないとけなす意味もあると考えられます。
九鬼サチ(南果穂)
南果穂さんが演じた玲子の母の名前は九鬼サチです。

竹内さんに関係するサチは、竹内さんの最初の夫、中村獅童さんとの不倫疑惑が持ち上がった岡本綾さん(引退済)が2004年の映画『メタセコイヤの木の下で』で演じた「幸子」です。この作品は社会福祉法人「ありのまま舎」が製作し、2005年ヒューストン国際映画祭ロマンス部門で銀賞を受賞しています。
サチ役の南果歩さんは1985年~1987年に放送された『3年B組金八先生』スペシャル4~6に理科の森村先生役で出演し、岡本綾さんは2001年に放送された第6シーズンに中里ミチル役で出演しています。

『金八先生』スペシャルで森村先生役の南 果歩さん
2人とも金八先生に準レギュラーとして、スポット的に出演した共通点があります。このため、南果歩さんが「サチ」という役をやれば、竹内さんはイヤでも岡本綾さんを思い出すと考えられます。サチという役名は、竹内さんに、2006年のいわゆる獅童騒動を思い出させるためにつけられたのでしょう。
また「九鬼」姓に関して、南さんは2015年公開の『さよなら歌舞伎町』でラブホテルの従業員を演じました。その中で、南さんが働くラブホテルの一室で、アダルトビデオの撮影が行われる場面があります。「九鬼」姓には、『さよなら歌舞伎町』をけなす意味もあったのでしょう。
『ストロベリーナイト』と『ATARU』の因縁
竹内さんが演じた多くの役の中で、なぜ、姫川玲子の「玲子」が『カネ恋』を使った竹内さんへの嫌がらせに選ばれたのでしょうか?それは、共に2012年に放送され劇場版も作られた犯罪捜査ドラマ、フジTV『ストロベリーナイト』とTBS『ATARU』に因縁があるからだと考えられます。
竹内さん主演の『ストロベリーナイト』は、連続ドラマ版が2012年1月10日から3月20日にかけて、火曜日の午後9時にフジテレビで放送されました。

一方『ATARU』は『ストロベリーナイト』最終回の約一ヵ月後の2012年4月15日から6月24日にかけて、日曜日午後9時の日曜劇場で放送されました。そして『ATARU』は木村ひさしの初監督作品だったのです。
『ATARU』の主役は中居正広さんですが、中居さんと竹内さんは、TBSで2001年に本編、2003年にスペシャルドラマ完結編が放送された、渡辺淳一原作のドラマ『白い影』で恋人同士を演じています。

竹内さん主演の『ストロベリーナイト』が最終回を迎えたすぐ後に『白い影』で恋人役だった中居正広さん主演の『ATARU』の放送が始まるわけですから話題性は抜群です。木村ひさしが監督した第1話の視聴率は19.9 %と高いものでした。
ところが、木村が続けて監督した第2話では視聴率は16.9 %に低下し、吉田健さんが監督した第3話では10.9%とシリーズ最低を記録してしまいます。このような視聴率の低下は、放送開始前は中居さん主演のミステリーだからと、期待の高かったものの、木村が監督した第1回、第2回が期待外れだったため、視聴者が離れたのだと考えられます。
平均視聴率を比べると『ATARU』は15.6%、『ストロベリーナイト』は15.4%で、わずかに『ATARU』が勝っています。しかし、これは『ATARU』第1回の視聴率が19.9%と非常に高かったためです。そこで、前評判の高かった第1回を除くと『ATARU』の平均視聴率は15.0%で『ストロベリーナイト』の15.4%の方が高くなります。
また、最低視聴率を比べると、『ATARU』第3回が10.9%『ストロベリーナイト』第10回が12.9%と『ストロベリーナイト』の方が高い数字です。つまり、視聴率で比較すると『ストロベリーナイト』は『ATARU』に実質的に勝っています。

両作品ともに2013年に映画化されており、劇場版『ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILLATARU』の監督は木村ひさしで、彼の初映画監督作品でした。

興行収入を比較すると『ストロベリーナイト』が21.5億円で『ATARU』は18.5億円となっており、やはり『ストロベリーナイト』が『ATARU』 に勝っています。
このように、実質平均視聴率と興行収入が高い『ストロベリーナイト』の方が『ATARU』より成功した作品と言えます。『ATARU』のドラマ版・劇場版で共に『ストロベリーナイト』に敗れたTBS関係者が、竹内さんへの嫌がらせのためにつけた役名が「九鬼玲子」だったと考えられます。
「4.2 竹内結子さんが亡くなった日が教えること: 『カネ恋』役名嫌がらせ」への4件のフィードバック