- タイトルの秘密
- 役名の秘密
- 『ロマンス編』の秘密
- 『プリンセス編』の秘密(準備中)
- 『英雄編』の秘密(準備中)
- 猪木さん、倍賞さんと小山内さん
『恋空』では、登場人物の名前に、小山内さんが『金八先生』を通じて伝えようとした事へのオマージュが隠されていました。もし、『コンフィデンスマンJP』が小山内さんへのオマージュなら、役名も小山内さんと関係があるはずです。
ダー子(長澤まさみ)
ダー子は賑やかで元気な天才詐欺師です。「元気」と「ダー」から連想される天才詐欺師といえば、「元気ですかー!」や「1,2,3、ダー!」のかけ声で知られる「燃える闘魂」アントニオ猪木さんです。

猪木さんは、異種格闘技戦などを通じて、観衆やテレビの視聴者に、プロレスを真剣勝負の格闘技と信じ込ませました。その意味で、猪木さんは天才詐欺師です。また、猪木さんは永久機関などの詐欺話にすぐ乗ってしまうのですが、詐欺師を恨むと言うより、楽しい気分にしてくれるからと、詐欺師を好む所があったそうです。
『コンフィデンスマンJP』の地上波ドラマ版が放送された2018年は、猪木さんがプロレスラーを一旦引退した1988年から30周年の記念の年です。
劇場版では、第1作『ロマンス編』が公開された2019年は、猪木さんが参議院議員に当選してから30周年です。また第2作『プリンセス編』が公開された2020年は、猪木さんが1990年にイラクで開催した「スポーツと平和の式典」から30周年、1995年に北朝鮮で開催した「平和のための平壌国際体育・文化祝典」から25周年の記念の年です。
劇場版『コンフィデンスマンJP』シリーズ第1作『ロマンス編』ポスターのダー子は赤い色のドレスを、第2作『プリンセス編』ポスターのダー子は青いドレスを着ています。


猪木さんは、選手生活の後半は、赤いガウンを主に着ていて、赤のイメージです。しかし80年代前半のプロレスブームの頃、ライバルだった全日本プロレスのジャイアント馬場さんが、赤いガウンとパンツでした。このため、当時は、新日本プロレスのマットの色と同じ青いガウンを着ている時の方が多かったと思います。


また、『ロマンス編』のジェシーとの見せ場で、ダー子は赤と青のストライプ柄のドレスを着ていますが、これは猪木さんが首から提げた、赤色と青色のスポーツタオルをイメージした物でしょう。

Official髭男dism
劇場版『コンフィデンスマンJP』のテーマ曲を担当したのは、髭男(ヒゲダン)こと、Official髭男dismでした。

Official髭男dismから公(おおやけ)の髭男となり、さらに、朝廷、皇室の髭男になります。皇室の髭男といえば、2012年に薨去されたた髭の殿下こと、寬仁親王殿下です。

一方、猪木さんの本名は猪木寛至です。寬仁殿下と猪木さんの名を音読みすると、響きがよく似ています。
寬仁 かんじん
寛至 かんじ
この事からもOfficial髭男dismが主題歌を歌った『コンフィデンスマンJP』の主人公ダー子のモデルは、アントニオ猪木さんだと考えられます。
なお、寛仁親王は、いち早く障害者福祉やスポーツ振興に取り組み、岡本綾さん主演の映画『メタセコイヤの木の下で』(2005)を制作した、筋ジストロフィー症患者を支援する『ありのまま舎』の初代総裁を務められました。
春馬さんは筋ジストロフィー症を扱った『こんな夜更けにバナナかよ』(1998)や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)をあつかった『僕のいた時間』(2014)に出演しています。
ボクちゃんとリチャード
ダー子のモデルが猪木さんなら、ダー子とだまし合いながらも行動を共にする、ボクちゃんとリチャードも、猪木さんと関係ある人物がモデルと考えられます。考えてみましょう。
ボクちゃん(東出昌大)
ボクちゃんは、お人好しで涙もろく、たびたびダー子に騙されます。詐欺師なのに「人を騙して、お金を取るのは良くない」と言ったり、妙に真面目です。
「ボク」から連想される、お人好しで真面目なレスラーは『ニューヨークの帝王』ボブ・バッグランドです。若い頃のバックランドの写真を見ると、なんとなくボクちゃんの髪型と似ています。


ボブ・バックランドの人柄については、接触のあったレスラーが、非常に純朴でまじめと褒めているので、ボクちゃんのキャラクターは、ボブ・バックランドをもとにしていると考えられます。
ボクちゃんは、ダー子に騙されて人間不信になりますが、猪木さんに騙されて人間不信になった、真面目なレスラーと言えば、猪木さんの下で新日本プロレス副社長、猪木さんの退任後は社長を務めた「世界の荒鷲」坂口征二さんです。

83年6月2日、ハルクホーガンとのIWGP決勝リーグ優勝戦で起きた、「アントニオ猪木舌出し失神事件」の際、マッチメーカーなのに猪木さんの計画を事前に聞かされていなかった坂口さんは「人間不信」と書き残して、しばらくハワイへ行って会社に現れませんでした。
猪木さんで「人間不信」…坂口征二<3> (読売新聞のwebアーカイブ)
何度裏切られても、ダー子と一緒にいるボクちゃんの人物面のモデルは、時に裏切られながらも猪木さんといつも行動を共にした坂口征二さんと考えられます。
リチャード(小日向文世)
3人の中で最年長のリチャードは、いつも冷静沈着です。またリチャードだけが時々、覆面を被って変装します。そして、仕事にかかった経費を計算して、もうけを分配するなど、3人の中ではインテリです。

これらの特徴に該当するのは、足4の地固めが必殺技の「白覆面の魔王」ザ・デストロイヤーこと、リチャード・ベイヤーさんです。ベイヤーさんは大学院修了のインテリです。

デストロイヤーの初来日は1963年で、力道山と死闘を繰り広げました。1930年生まれのベイヤーさんは、力道山と対戦するために日本に来た頃までは、敵国だった日本を恨んでいましたが、日本人とふれ合ううちに、親日家になりました。
二十年以上に渡って、麻布十番の納涼夏祭りでチャリティサイン会を行い、2011年には東日本大震災復興支援のチャリティプロレスにも登場しています。引退後は、毎年アメリカの子どもレスリングチーム率いて、来日して、スポーツを通じた国際交流を行いました。
これらの日本におけるプロレスの振興、日米両国の友好親善および青少年交流に貢献してきた実績を評価されて、2017年に旭日双光章を受勲しました。
デストロイヤーさんは、日本では車を運転するときも覆面姿で、人前で素顔をみせませんでした。『コンフィデンスマンJP』のリチャードは時々しか覆面を被りません。また、リチャードは、広末涼子さん演じる波子にすぐに騙されますが、デストロイヤーさんは、とても愛妻家です。そして、リチャードだけは背広姿です。リチャードの人物面には別のモデルがいると考えられます。
猪木さんよりかなり年上で、だまし合いを演じた背広姿の人物と言えば、新日本プロレス営業本部長だった「過激な仕掛け人」新間寿さんです。

新間さんは猪木さんの右腕として1976年のハメド・アリ戦を初め、数々の名勝負を実現しました。80年代前半のプロレスブームの立役者ですが、猪木さんとは、度々袂を分けて、裏切り合いを行っています。
1983年のクーデター事件で新日本プロレスを追放された新間氏は、後に安倍晋三とも親密な関係になったジャパンライフの政治連盟の職員になりました。2019年に消費者庁がマルチ商法で注意喚起したVISIONという会社の代表者が新間氏の名義になっているので、旧ジャパンライフ関係者との関係はずっと続いていたようです。
1989年に猪木さんが立ち上げたスポーツ平和党にも参加しましたが、1993年に自分の人脈から猪木さんの公設第一秘書になっていた佐藤久美子に記者会見させて、決別を宣言、テレビに出て猪木さんを激しく批判しました。当時『さらばアントニオ猪木』という告発本まで出しました。しかし、2002年に新間さんと猪木さんは和解されたことになっています。
このように、ダー子とチームを組んで詐欺を働く、ボクちゃんとリチャードのモデルは、新日本プロレス時代の猪木さんの側近、坂口征二さんと、新間寿さんです。この事からも、ダー子のモデルはアントニオ猪木さんと考えられます。
ジェシーとスタア
劇場版にだけ出て来る、ジェシーとスタアについても考えてみましょう。
ジェシー(三浦春馬)
三浦春馬さんが演じたジェシーは、ダー子の味方だったり、赤星の手下だったりで、どちらの味方かはっきりしません。この特徴に合致する「ジェシー」は、「ザ・ボディ」ジェシー・ベンチュラです。

春馬さん演じるジェシーは、劇場版でも少ししか登場しません。ベンチュラもアメリカでは人気レスラーでしたが、日本のプロレスとスタイルが会わなかったため、1982年と1983年に日本のリングに上がっただけです。
ジェシーはダー子の味方なのか敵なのかはっきりしません。ベンチュラは引退後、ミネソタ州知事を務めたことがありますが、二大政党には属していません。この特徴から、ジェシーの名前は、ジェシー・ベンチュラから取られていると考えられます。
スタア(竹内結子)
竹内結子さんが演じたスタアはダー子の師匠格です。『ロマンス編』でスタアがなりすました、ラン・リウは福岡生まれの読書好きな少女だったという設定です。長澤さんの先輩女優で、福岡生まれで読書好きなスターと言えば、福岡県黒木町出身の黒木瞳さんです。

観客に、空想の世界を、現実の世界と錯覚させ、物語に引き込む俳優という職業も、ある意味詐欺師です。スタアの少女時代役の菊地さんと黒木さんは雰囲気が似ています。


黒木さんの出演歴を見ると、2005年までは多数のTBS作品にコンスタントに出演していますが、中村獅童騒動のあった2006年以降、TBS作品に出演したのはスペシャルドラマ『産科医・和泉凛〜生と死のカルテ〜』の1本だけです。
おそらく黒木さんは、獅童騒動の罠をしかけたことに抗議して、TBS作品への出演を避けていたと考えられます。黒木さんは女優の人権を踏みにじるTBSに抗議する女優達のリーダー的役割を果たしていたのでしょう。
猪木さんと黒木さん
猪木さんと黒木さんを繋ぐのは『恋空』ヒロのモデル、廣田弘毅が所属した、福岡発祥の政治結社、玄洋社です。黒木さんのご主人の曾祖父は玄洋社創設者の遠山満です。一方、黒木さんの祖父は、玄洋社とゆかりの深い、福岡市西新で文人墨客を顧客を持つ茶葉店を営んでいました。玄洋社関係者も顧客だったでしょう。
一方、日本プロレス時代から、猪木さんの後見人は、戦後のフィクサーとして知られる児玉誉士夫でした。児玉は、遠山満を尊敬し、戦前右翼活動をしていますが、1932年頭山満の三男、秀三が主宰する天行会に出入りします。
そして、五・一五事件で秀三が手配されたため、残った児玉達だけで、1932年、天行会独立青年社事件をおこし、服役しました。秀三は、1952年に児玉誉士夫が起こした交通事故で亡くなっています。
猪木さんと『金八先生』
『コンフィデンスマンJP』の主要登場人物、ダー子、ボクちゃん、リチャードのモデルは、アントニオ猪木さん、坂口征二さん、そして新間寿さんと考えられます。この3人は70年代末から80年代前半のプロレスブームの頃の、新日本プロレスの経営の中心でした。
新日本プロレスと『金八先生』が関係するのは、『金八先生』の名前の由来、「金八をなんとかしろ」です。当時、TBSが金曜夜八時台の視聴率で苦戦していたのは、テレ朝系で新日本プロレスの中継『ワールドプロレスリング』が放送されていて、大人気だったからです。
フジTVとTBSは、ドラマ視聴率でライバル関係にあります。そこでライバル局から『金八先生』へのオマージュとして、『金八先生』のライバルの新日本プロレスの首脳3人を主要登場人物のモデルにしたと考えられます。
アントニオ猪木と“金曜8時”をめぐる視聴率戦争 (Number Web)
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